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2016/02/25 Blog 本当の世界最小ビーズ ーコンテリエー

プラナカンビーズ刺繍をしていると、小さなビーズや極細針を扱っているからか、

肉眼、または皮膚感覚でも微々たるサイズの違いに気付きやすくなります。

 

まるで職人のような世界なのですが

プラナカンビーズ刺繍の経験がある方も同じではないかと思います。

 

今日は、そんな小さな世界について。

 

最小、極小、特小などという記載で、世界で一番小さいビーズを表現していますが、

その定義について改めてご説明したいと思います。

 

まずは、世界最小ビーズってどのくらいのサイズ? という素朴な疑問があるかと思います。

私の教室や作品ではプラナカンビーズ刺繍が最も繁栄した100年前と同じサイズで、

0.8mm - 1mmサイズのビーズをご提供させて頂いています。

 

これらは大変入手が難しいビーズで、市場にもなかなか流通しないものなのですが

プラナカンビーズ刺繍を一番美しく見せてくれるものだと思い

利用ビーズにこだわっています。

 

これは本当に世界最小サイズか?と言うと、少し異なるかもしれません。

 

厳密にいうと「現代に残る世界極細の針と糸を用いて通すことのできる世界最小ビーズ」

ということになります。

 

それでは、使うことができないけど、世界最小のビーズの大きさはといえば

糸通し穴でない部分が約0.3mmほどの大きさになり、

1mmの中にビーズが3つ並ぶ 驚くほど薄平たい小さなビーズです。

写真がそのビーズになります。

 

初期のプラナカンビーズ刺繍にも利用されてきました。

 

サイズは18/0~22/0の間で 『コンテリエ(伊)』と呼ばれます。

 

この本物の世界最小ビーズは

ヨーロッパのある島の一部のエリアで生産されていました。

 

世界一美しいグラスやグラスビーズを作るという、17世紀初頭の国家戦略で

グラス職人に多くの特権を与える特別法が制定。

島へ移住させ、技術を漏らしてはならないという契約の元、

閉鎖的な環境で生産されてきたといいます。

 

では、なぜ国家戦略でグラスビーズを作る必要があったのでしょうか。

 

昔は換算レートが世界共通ではなく各国の通貨の信用性も低かったため

国家限定の物品や特産物を生産して交易品として同価値の諸外国の物品等と引き換える必要がありました。

 

いわば、お金を発行する金融庁の場所がこの島だったわけですから

お金を作る技術も職人も 外部へ漏れてしまっては政府の大問題。

厳しい法律の元で管理をされていたようです。

 

そして、グラス職人から渡された 世界最小のビーズは

別の街へ送られ 糸通しを手作業で行うことになります。

 

この作業のほとんどが家庭の主婦であったそうです。

子育ての傍らグラスビーズの糸通しの内職を

友人らと楽しそうに歌を歌いながら作っていたとか。

その歌詞を見せていただくと、大変な仕事でも、

美しいものを楽しみながら扱っていたことが伝わってきました。

 

今年は、皆様にアンティークのコンテリエを利用していただく作品を

考えていきたいと思います。

 

プラナカンビーズ刺繍のご経験者様でも、驚くほどのサイズ感です。

 

このグラスビーズから放つ色、光、サイズ感に

しばしうっとりしてしまうでしょう。

(サンプルを入手した自分も長々と見込んでしまいました・・)

 

コンテリエを扱う極限の世界に挑戦すると同時に

息を呑むほどの美しさを感じながら、楽しんでいただきたいと思っています。

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